SDGsコラム

SDGs 169ターゲットの取組み事例 6-2.

SDGsの17目標の下に、169のターゲットがあることをご存じですか?
169ターゲットへの理解を深めることで、サステナビリティに関する取組みに迷いがなくなり、多くのヒントやアイデアが生まれてきます。ここでは、各ターゲットの取組み事例をいくつかご紹介します。

6-2. 2030年までに、全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、並びに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。

ウォシュレットに代表されるように、日本はトイレ先進国です。私たちにとってトイレや地下水はあって当たり前の社会に思えますが、世界では安全で衛生的なトイレを利用できない人が約17億人。つまり5人に1人が安全で衛生的なトイレがない生活を送っています。また日常的に屋外で排泄している人が約4.9億人います。排泄物が安全に処理されないと、様々な細菌が体内に侵入するため、免疫力の弱い子どもたちは下痢を発症してしまいます。世界では、下痢によって命を落とす5歳未満の子どもたちが、年間およそ52.5万人もいます。
出典:ユニセフ(2020年時点)

この社会課題に対して、私たちにできることは何でしょうか? 今回は日本企業の取組事例をご紹介していきます。

nepia 千のトイレプロジェクト

東ティモール民主共和国(通称:東ティモール)は、東南アジアにある人口約131万人の島国です。2002年にインドネシアの占領から独立した若い国で、当時は農村部のインフラが整っていませんでした。nepiaのトイレットペーパーは、誰もが一度は購入したことがあると思います。王子ネピアは毎年キャンペーン期間を定め、その期間中のネピア商品の売上の一部をユニセフに寄付することで、ユニセフによる家庭でのトイレづくりなどを支援してきました。

2008年から2021年までの13年間で、東ティモールに設置されたトイレは約2.2万件、約13.4万人がトイレを使えるようになりました。そしてその結果、5歳未満の子どもの死亡率が約36%改善しました。東ティモールでは2024年までに屋外排泄をなくし、全国で衛生的なトイレを取り入れることが国の具体計画として決まったため、nepia 千のトイレプロジェクトはその役割を終え、現在は活動を終了しました。

このような活動を13年間継続するのは、すごいことですね!そして国の具体計画に結び付いたのは、本当に素晴らしいことだと思います。
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LIXIL みんなにキレイをプロジェクト

出典:株式会社LIXIL プレスリリース

毎年キャンペーン期間を定め、対象商品の売上の一部が開発途上国に寄付される仕組みは、nepiaの千のトイレプロジェクトと似ています。LIXILが素晴らしいと思うのは「トイレや水栓などの水まわりの技術とノウハウを用い、2025年までに1億人の衛生環境を改善する」という野心的な目標を掲げ、アウトサイド・インの思考で展開している点です。

それを可能にしているのは、上下水道の整備が遅れている開発途上国にも設置できる簡易式トイレシステム「SATO」です。「SATO」はLIXILが水まわり製品や住宅建材メーカーのノウハウを使って開発したトイレで、少ない水でも排泄物が流れ、虫や悪臭を防いでくれます。安価でメンテナンスしやすいシンプルな構造が特徴です。国や環境によって和式、洋式など幅広い選択肢が用意されていて、現在では45カ国以上で利用され約650万台を出荷しています。

出典:株式会社 LIXIL プレスリリース

またLIXILは、水道設備のない家庭でも使用可能な安価な手洗いステーション「SATO Tap」を開発しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生のわずか2カ月後に生産され、感染症予防に有効な手洗いの普及に役立っています。

特筆すべき点がもう一つ、それは「パートナーシップ」です。「SATO」を提供する国になるべく近い場所に生産拠点を築き、現地で作って届けています。「みんなにキレイをプロジェクト」はインドやバングラディッシュなどの特に緊急性の高い地域に寄付されていますが、その一方で現地で作って販売、メンテナンスする仕組みを事業化することで、新たな雇用を創出しているのです。

ターゲット6-2.を目標にする企業は、このプロジェクトに賛同して何かご一緒にやれることを検討してみては、いかがでしょうか?

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川瀬健二(カワセ印刷株式会社)